学校教育が全国にほぼ完全に普及しており、また高学歴化か進行することによって、学校教育を補完するための教育や特別な教育制度があまり必要とされなかったこと、また、社会に出てからも、日本の企業の特色の一つであった終身雇用制があり、そのため、企業内での教育や訓練が盛んであり、職業の公共的な訓練への要請が低かったことなどが挙げられよう。このような背景のもと、生涯教育・生涯学習という言葉は、主として余暇に楽しむ趣味的なもの・娯楽的なものや、高齢期になされる学習などということに関して使われることが多かったのである。このような情勢から転換したのは、1981年の中央教育審議会の答申「生涯教育について」であった。そこでの基本方針は、「一つには、人間の乳幼児期から高齢期に至る生涯のすべての発達段階に即して、人々の各時期における望ましい自己形成を可能にする方途を考察し、また、一つには、教育機能の領域・形態の面から、家庭のもつ教育機能をはじめ、学校教育、社会教育、企業内教育、さらには民間の行う各種の教育・文化事業等にわたって、社会に幅広く存在する諸教育機能を生涯教育の推進の観点から総合的に考察したものである」とされている。このように、教育制度のあり方を抜本的に見直すことにより、生涯教育という考え方は、社会教育の枠を越えて学校教育も含めた教育全体の中心的な政策理念となっていくことになったのである。
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