某先生の授業では、足し算、引き算、掛け算、割り算をストップ・ウォッチでタイムを計りながらやらせている。では、子供たちがそれを嫌がっているのかというとそうでもない。子供たちは喜々としてやっているのだ。子供たちはゲーム感覚的に自分のタイムを伸ばすことを楽しんでいる。「昨日1分20秒かかった計算が、今日は1分15秒でできた」。それは子供にとってとてもうれしいことだ。ゲームで「過去最高点がとれたからうれしい」「何面までクリアできたからうれしい」というのと同じで、「昨日できなかったことができるようになった」「前はわからなかったことがわかるようになった」というのはうれしいことなのだ。テレビゲームだとおもしろくて、勉強だとおもしろくないということはない。人問というのは、伸びること、賢くなることがうれしい生き物だ。そこがほかの動物との最大の違いかもしれない。だから「賢くなることはうれしいことである」という本能的なものをもっと大事にしなければいけないと思う。このテクニックを、子供が勉強するときにも生かすべきだ。たとえば、前にやったことがある問題を「いまでもできるかどうか、やってごらん」と、たまにやらせてみる。できたら、「すごい、できるようになったね」と喜んであげる。子供のほうは、「1回やった問題だから当たり前だよ」と言うかもしれないが、それでも前はできなかったことができるようになったのだから、うれしくないはずがない。勉強をすることで頭がよくなっているんだという実感をどう持たせていくかということが、子供のやる気を引き出す大きなポイントだ。目に見える形で伸びていることを実感させることができれば、子供は自ら「もっとやってみよう」という気持ちを持つようになる。タイムを計って前より短縮できたことを示すというのも、目に見える形で進歩を実感させる有効な方法だ。